【行政書士が解説】本当は怖い:車庫証明の入替について行政書士が解説

自動車の手続きに詳しい行政書士が「本当は怖い、車庫証明の入替車両」について解説いたします。
新しく車を購入する際にネックになるのがこの入替車両正しくケアをしないと後々とんでもないことになります。
自動車の手続きが初めての方でも理解がしやすいように自動車の手続きのプロがわかりやすく解説いたします。

はじめに

車庫証明の申請を行う際に、同時に書面に併記する形で申告するものが「入替や下取の車両や代車の有無」です。
また同時に初めてその場所で車庫証明を取る場合や入替がない場合は「新規」もしくは「増車」という感じで併記しておきます。
では、なぜこのような併記が必要なのか1つ1つ行政書士が後ほど解説するとして、まずは入替等車両について解説いたします。

入替車両(下取車両)って?

先にご説明したなかで出てきた「入替等車両」については下記の表のとおりにまとめることができます。

記載区分どんな車両か記載後に必要な手続き
入替車両今回申請する車庫において既に車庫証明を取得し、現在も停まっている車両
→代替車両と呼ばれることもあります。
この車両を入替車両で出すと、売却等の自動車自体の処分を行うか
自動車の保管場所変更の届出という車庫を変更する届出を行う必要があります。
下取車両概ね上記と同じ条件の車両だが、既に売却や下取りが決まっている車両基本的には事後の手続きを行うことはありません。
買主や下取り先が自身に名義を変更する際に車庫証明を取得するはずなので
その車庫上ではこの車両のデータは抹消されます。

入替車両以外にも併記による申告が必要な車両(代車)

入替等車両以外にも、現地に代車が停まっている場合は、その旨を申告しておく必要があります。
というのも、車庫証明の申請を行うと最短で当日の午後~翌開庁日中にかけて警察官かその委託を受けた方が現地調査に来ます。
現地調査の際に申請車両以外の車両や入替等車両として申請している車両以外が停まっている場合も同様に台数オーバーとなり車庫証明の審査が止まります。
今乗っている車が事故等で廃車になったためつなぎで代車を使用している場合は、その車両についても申告しましょう。

警察署がどうしてこんなに入替等車両にうるさいのか

では、どうして警察はこんなにも入替等車両についてうるさいのでしょうか?
それを理解するためには、車庫証明という制度について深い理解が必要です。


少し法律のお話をすると、この車庫証明の根拠法は車庫法(自動車の保管場所の確保等に関する法律)です。
この法律では、道路を自動車の保管場所(駐車場のことです。以後は「車庫」とします。)とすることを禁止し、適切な場所に車庫を確保することを義務付けています。
「”車庫”を適切な場所に確保している”証明”」を警察にしてもらうので「車庫証明」と呼ばれるわけです。


この法律の趣旨に立ち返って考えると、入替を厳正に管理しないと車庫から車が溢れかえってしまい、道路が実体的に車庫として使われてしまう可能性があり、交通事故や交通の円滑を妨げてしまう可能性があるので警察はこの「入替等車両」を厳しく確認します。


入替等車両として記載した車両も適切なケアをしていない場合は、車庫法に違反する重大な犯罪行為ですのできちんと書面で申告し、必要な手続きをしましょう。

どのように申告するのか

これまで入替等車両についてきちんと申告することをおすすめしてきました。
ではどのように申告するかというと次の表に掲げる書類に併記する形で申告します。
なお入替等車両を特定するための情報も同時に併記します。
どの程度の情報が必要かについては、警察署によって異なるため事前に警察署に確認することがベストです。

入替等車両の情報を記載する書面記載内容備考
所在図・配置図入替等車両のナンバープレートの番号or車台番号
もしくはその両方
北九州ナンバー管轄の警察署に関してはナンバープレートの番号か車台番号のどちらか一方のみでOKです。
下関警察署等に関しては、ナンバープレートの番号と車台番号どちらも必要です。

基本的には車庫証明を申請する際には入替車両に注意をしましょう

販売店様はもちろん申請に携わる行政書士もこの記事をご覧になることでしょう。自動車業務の専門家として助言をさせていただくとしたら「入替等車両に注意をしましょう」ということです。

日本の駐車場のつくりは1つの駐車枠につき1台を停めるよう設計されていることが多いため、車庫証明を申請する際に、ユーザー様に既にそこで車庫証明をとっている自動車がないかをきちんと確認する必要があります。

以前そこで車庫証明を取得していて、現在もその車両がそこにあれば、その車両を入替等車両として申告し、他の場所で今停まっている車両の車庫証明を取得するか、その車両の保管場所を変更する必要があります。(もちろん枠に余裕があれば同じ場所に2台以上停めることができないわけではありません)。

一般的に車庫証明で多いサイズが横幅2メートル×奥行き5メートルの計10平方メートルです。これは通常の国産の普通車であれば基本的には収容することができるサイズですが、ここに普通車2台を停めるのはほぼ困難だと思います。
そのため通常は、その駐車場で初めて車庫証明を取る場合以外は基本的には入替等車両が存在するということになります。

なお、以前、車庫証明を取ったことがあったとしても既に売却済みであったり、廃車にしている場合は気にする必要はないのかなと思いますが、申請の直前に売却した場合などは残っている場合があるのでそのときはその車両のナンバープレートの番号などを聞いておきましょう。

当事務所では、関与させていただくお客様についてこの点をしつこいくらいしっかりと確認させていただいています。
保管場所として申請した駐車場にデータ上もしくは実際に現地に車両が停まっていると車庫証明の審査が停止し、交付が遅れます。
交付が遅れるということは、登録手続きもどんどん後ろ倒しになるため、納車日がどんどん遠のいてしまい結果としてお客様がユーザーからの信頼を損なってしまうという深刻な事態に陥りますので注意をしましょう。

ポイントは、申請時の入替車両としての申告とその後の処置(自動車を売却するなどして別の方にきちんと車庫証明を取ってもらうor保管場所変更の届出を行う)
→警察は、車庫証明交付後現地を見に来ることは基本的にはないため、入替車両として一旦申告してほったらかしておいても基本的にはバレません。
ただ陸運局と警察署のデータベースはリンクしているため適切な処置(売却や保管場所変更の届出等)をしていないと、その駐車場には過去の車のデータが残り続けるため後々新しい自動車を購入したときに台数オーバーで指摘され車庫証明の審査が停まるという事態になるのです。

実例

当事務所が関与させていただいた案件で入替がネックとなった案件をご紹介いたします。

ケース1:入替車両として申告したがその後の手続きを怠っていたケース

このケースでは3つの自動車が出てきますのでそれぞれを下記の通り、A車、B車、C車とします。
・A車(現在も保有している車でB車の購入時に入替車両として書面上は申告したが車庫証明交付後なんら手続きをしていませんでした)
・B車(A車の次に購入した自動車で、C車の購入と同時に下取りに出す予定です。)
・C車(今回の申請車両です。)
【概要】
このユーザー様は、B車を購入した際にそのディーラーの営業担当から「書類に一旦ナンバープレートを書いておけば車庫証明はOKです」と言われ、これを信じ今後も乗る予定の自動車(A車)のナンバーを入替車両と仮装して申請し、放置していました。
それから少ししてC車を購入することとなり当事務所はこの車庫証明に関与させていただきました。この申請では、B車を下取りに出すと伺っていたため、B車を入替車両として申請しました。受理されてほどなくして警察署から電話があり「A車という車の記録が残っていますがどうなっていますか?」と確認の連絡でした。依頼元を通じてユーザー様に確認を取ったところ先述したような経緯の説明がありました。
【どこが問題なのか】
今回のケースの問題点は2つです。
・入替の予定がない車両をあたかも入れ替えるかのように偽装して申請したこと
・A車を入替車両として申請したのに車庫証明を取り直す等のケアをしなかったこと
【その後】
当事務所では、ユーザー様に事の重大さを説明したうえで、A車の保管場所の変更の届出を追加で受任し、適切に手当てを行い、警察署には事情を説明して再発防止をお約束し、車庫証明が交付されました。

ケース2:実際は、遠方に住んでいる子供が乗っているのに何ら手続きをしていなかったケース

本ケースでは自動車が2台と次の登場人物が出てくるので、次のようにしたいと思います。
・A車(以前お父さんが乗っていた車両です。現在は息子さんが乗っていますが車検証の書換を行っていません)
・B車(今回の申請車両)
・お父さん(本ケースの申請者)
・息子さん(お父さんとは違う場所に住んでいます)

【概要】
B車の車庫証明に当事務所が関与しました。申請する車庫には何も停まっていないということで入れ替えナシで申請したところ警察署より「A車という車のデータが残っているので確認してください」という連絡がありました。
このケースは車庫証明の入れ替えの有無よりも、実際の使用者に変更があったにもかかわらず車検証等の書換が行われていないという点が問題になったケースです。基本的には、同居親族以外に使用者が変わった場合は、使用の本拠の位置が変わるため車庫証明を取り直す必要があります。今回のケースだと息子さんが自身の住所地で車庫証明を取り直し、車検証の変更手続きを行わなければならないのですがそれを行っていませんでした。そのため警察署のデータの更新が行われず台数オーバーになってしまったというわけです。

【その後】
A車を入替車両として申請し、同時に息子さんにはA車の車庫証明を取得していただきました。

まとめ:入替はしっかり管理しましょう

今回は車庫証明の入替車両について説明しました。
「入替車両として挙げたならばしっかりと後始末をする」これをするだけで車庫証明はスムーズに進みます。
台数オーバーになりそうなときは、ディーラーの営業担当の言うことを鵜呑みにするのではなく最寄りの警察署にご相談ください。

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    【申請対応が可能なエリア】
    福岡県全域・山口県全域・大分県全域・佐賀県全域・熊本県北部

    【対応可能運輸支局】
    北九州自動車検査登録事務所(北九州支局)・筑豊自動車検査登録事務所(筑豊支局)・福岡運輸支局・久留米自動車検査登録事務所(久留米支局)

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    定期的に巡回し、内容を訂正等するように努めてまいります。


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